ピックルボールの点数の数え方・サーブ順を完全図解【ダブルス】
公開日: 2026-08-21
ピックルボールで初心者が最もつまずくのは、ルールでも技術でもなく 「点数の数え方」 です。
テニスやバドミントンと違い、ピックルボールは サーブ権を持っているチームしか得点できません。しかもダブルスではサーブ前に数字を3つ読み上げます。「ゼロ・ゼロ・ツー」という謎の呪文の意味がわからないまま、なんとなくプレーしている人は少なくありません。
この記事では、2026年版USA Pickleball公式ルールブックの条番号を明記しながら、点数とサーブ順を根本から整理します。最後に1ゲームぶんの進行例を通しで載せたので、そこだけ読んでも仕組みがつかめます。
30秒でわかる要点
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 得点できるのは | サーブ側だけ(規則4.A) |
| ゲーム終了 | 通常は11点先取・2点差以上(Section 1) |
| ダブルスのコール | 3つの数字(規則6.B.2) |
| シングルスのコール | 2つの数字(規則6.B.1) |
| ゲーム開始のコール | ダブルスは**「0 - 0 - 2」/シングルスは「0 - 0」** |
| サーブ後の移動 | 得点したときだけサーブ側が左右を入れ替える |
ルール1|得点できるのはサーブ側だけ
公式ルールブックの規定はきわめて短い一文です。
サーブしてラリーに勝つことで得点となる。(規則4.A「Standard Scoring」)
つまり、次のようになります。
| ラリーに勝ったのは | 結果 |
|---|---|
| サーブ側 | サーブ側に1点入る。同じ人がサーブを続ける |
| レシーブ側 | 得点は入らない。サーブ権が移るだけ |
レシーブ側がどれだけ連続でラリーを取っても、点数は1点も増えません。まずサーブ権を奪い返し、そこから積み上げる必要があります。これがピックルボールの試合が意外と長引く理由です。
なぜこの仕組みなのか: サーブ側だけが加点できるため、リードしている側も安心できません。逆転が起きやすく、実力差があっても試合が壊れにくい設計になっています。
ゲームの終わり方
公式ルールブックのSection 1(The Game)は、次のように記述しています。
通常は、先に11点を取り、かつ2点以上リードしているプレーヤーまたはチームがゲームに勝つ。
10-10になった場合は、2点差がつくまで続きます(12-10、13-11…)。上限はありません。
大会では別の形式も使われます(規則15.C)。
| 形式 | 内容 | 規則 |
|---|---|---|
| 3ゲームマッチ | 11点ゲームの2本先取 | 15.C.1.a |
| 5ゲームマッチ | 11点ゲームの3本先取 | 15.C.1.b |
| 1ゲームマッチ | 15点または21点先取 | 15.C.1.c |
| 1ゲーム11点 | 6チーム以上のラウンドロビンのみ | 15.C.1.d |
すべて2点差で勝ちが原則です。ただし団体戦(team play)に限り1点差での決着が認められています(規則15.C)。
ルール2|ダブルスは「3つの数字」でコールする
サーブを打つ前に、サーバーはスコアを声に出して読み上げます。ダブルスでは3つの数字です(規則6.B.2)。
「 4 - 2 - 1 」
│ │ │
│ │ └─ サーバー番号(1人目か2人目か)
│ └─────── 相手チームの点
└───────────── 自分のチームの点
順番は 「サーブ側の点 → レシーブ側の点 → サーバー番号」 です。自分の点が先、と覚えてください。
「ゼロ・ゼロ・ツー」の正体
各ゲームの開始時、コールは必ず 「0 - 0 - 2」(ゼロ・ゼロ・ツー) になります(規則6.B.2)。
初めて聞くと意味不明ですが、理由は明快です。
ダブルスでは、サイドアウトになる前に両方のプレーヤーがサーブする。ただし各ゲームの開始時のみ、スターティングサーバーがセカンドサーバーとしてサーブする。(規則5.B)
通常は「1人目がサーブ権を失う → 2人目に交代 → 2人目も失う → サイドアウト(相手にサーブ権が移る)」という流れです。
しかしゲームの最初のチームだけは1人しかサーブできません。先攻が2人ぶんサーブできると有利になりすぎるからです。そこで、最初のサーバーは最初から「2人目」として扱われます(規則5.B.2)。だから3つ目の数字が「2」から始まります。
覚え方はこうです。「0-0-2の2は、もう後がないという意味」。このサーバーが1回でも失点すれば、即サイドアウトです。
シングルスは「2つの数字」
シングルスでは、サーバー番号は存在しません。サーバーの点、レシーバーの点の2つだけです(規則6.B.1)。ゲーム開始時は「0 - 0」です。
シングルス特有のルールはシングルスのルール解説にまとめています。
ルール3|サーブ順と立ち位置
ここが一番の難関です。ただし、押さえるべきは2つの原則だけです。
原則A|得点したときだけ、サーブ側が左右を入れ替える
サーブ側は、点を取るたびに右のサービングエリアと左のサービングエリアを交互に移ります(規則5.B.5、5.B.6)。
サーブ権を失ったときは移動しません。 また、レシーブ側は自分たちの位置を変えません。 ここを勘違いすると、コート上の全員が混乱します。
| 状況 | サーブ側の動き | レシーブ側の動き |
|---|---|---|
| サーブ側が得点 | 左右を入れ替える | 動かない |
| サーブ側が失点 | 動かない(サーバーが交代 or サイドアウト) | 動かない |
原則B|自チームの点が偶数なら「ゲーム開始時と同じ側」
公式ルールブックは、正しい立ち位置を次のように定めています(規則5.B.3)。
サーブまたはレシーブの際、スターティングサーバーの正しい位置は、自チームの点が0または偶数のときはコートの右側、奇数のときは左側である。そのパートナーの正しい位置は、自チームの点が0または偶数のときは左側、奇数のときは右側である。
言い換えると、こうなります。
自分のチームの点数が偶数なら、そのゲームを始めたときと同じサイドにいる。奇数なら反対サイドにいる。
これが、ピックルボールのポジションを一発で判定できる万能ルールです。試合中に「あれ、自分どっちだっけ?」となったら、自チームの点数の偶奇を見るだけで答えが出ます。
サーバー番号の決まり方
サイドアウト直後、そのときチームの点数に応じて右側に正しく位置しているプレーヤーがサーブを始めます。そのプレーヤーがその回のファーストサーバー、パートナーがセカンドサーバーになります(規則5.B.2)。
つまりサーバー番号は「その人の固定番号」ではありません。サイドアウトのたびに決まり直すものです。同じ人が前の回は2番、次の回は1番、ということが普通に起こります。
実際の1ゲームを追ってみる
言葉だけでは伝わりにくいので、具体的な進行を追います。
登場人物: Aチーム(A1・A2)、Bチーム(B1・B2) 開始時の配置: A1は右、A2は左/B1は右、B2は左 先にサーブするのはAチーム
| # | コール | サーバー | 何が起きたか |
|---|---|---|---|
| 1 | 0 - 0 - 2 | A1(右) | Aが0点=偶数なのでA1は右。開始時なので番号は「2」 |
| 2 | 1 - 0 - 2 | A1(左) | Aが得点。Aは1点=奇数なのでA1は左へ移動 |
| 3 | — | — | Aが失点。A1は「2番」なのでサイドアウト。Bへ交代 |
| 4 | 0 - 1 - 1 | B1(右) | Bが0点=偶数なのでB1は右。この回のファーストサーバーはB1 |
| 5 | 1 - 1 - 1 | B1(左) | Bが得点。Bは1点=奇数なのでB1は左へ |
| 6 | 1 - 1 - 2 | B2(右) | Bが失点。サーバーがB2に交代(位置は動かない)。Bは1点=奇数なのでB2は右 |
| 7 | — | — | Bが失点。2番だったのでサイドアウト。Aへ交代 |
| 8 | 1 - 1 - 1 | A2(右) | Aは1点=奇数。A1は左にいるので、右にいるA2がサーブ。この回のファーストサーバーはA2 |
#6に注目してください。 サーブ権が1人目から2人目に移るときは、プレーヤーは移動しません。移動するのは「得点したとき」だけです。ここが最も間違えやすいポイントです。
#8にも注目してください。 前の回はA1がファーストサーバーでしたが、今回はA2です。サーバー番号は固定ではありません。
コールにまつわる細かいルール
スコアコールには、思ったより多くの規定があります。
| ルール | 内容 | 規則 |
|---|---|---|
| コールする人 | 通常はサーバー。サーバーが読めない場合はパートナーが代行でき、1ゲームを通じて同じ人が行う | 6.B、6.B.2.a |
| コール中のサーブ | スコアを読み上げ終わる前に打つとフォルト | 6.C.1 |
| 10秒ルール | コール完了後10秒以内にサーブしないとフォルト | 6.D.1 |
| 位置の入れ替え | コール後にサーブ側が位置を変えた場合、全員の位置が整うのを待って再コールし、10秒を数え直す | 6.D.2 |
| スコアの確認 | サーブが打たれる前なら、相手にスコアを聞いてよい。聞かれた側は答える義務がある | 6.E.1 |
「まだ準備ができていない」ことを伝える方法も決まっています(規則6.A.1)。
- パドルを頭より上に挙げる
- パドルを持っていない方の手を頭より上に挙げる
- ネットに完全に背を向ける
この3つ以外は無効です。スコアコールが始まった後は「準備できていない」の合図は使えません(規則6.A.2)。
間違えたときはどうなる?
初心者どうしのゲームでは、コールミスもポジションミスも日常茶飯事です。公式ルールにはきちんと処理方法が定められています。
スコアを間違えてコールした場合(規則6.F)
| タイミング | 処理 | 規則 |
|---|---|---|
| リターンが打たれる前にラリーを止めて指摘 | 正しいスコアでやり直し(リプレイ) | 6.F.1 |
| 正しいコールなのに止めて抗議した | 止めた人のフォルト | 6.F.2 |
| リターンが打たれた後に止めて指摘 | 止めた人のフォルト | 6.F.3 |
| ラリーが終わってから気づいた | ラリーの結果は有効。次のサーブ前にスコアを訂正 | 6.F.4 |
気づいたら早く言う。ラリーが始まってしまったら最後までやる。 これが原則です。
サーバーやポジションを間違えた場合(規則5.C)
サーブが打たれる前なら、相手に「サーバーは誰か」「位置は合っているか」を質問できます。聞かれた側は答えなければなりません(規則5.C)。
| 状況 | 処理 | 規則 |
|---|---|---|
| 誤りを正しく指摘してラリーを止めた | やり直し(リプレイ) | 5.C.1.a |
| 誤りがないのに止めた | 止めた人のフォルト | 5.C.1.b |
| 正しい配置なのに違う人がリターンした | リターンした人のフォルト | 5.C.1.c |
| ラリーが終わってから発覚 | ラリーの結果は有効 | 5.C.2 |
ラリースコアリング(暫定ルール)
2026年版ルールブックには、ラリースコアリングという別方式が暫定ルールとして収録されています(規則14.A)。
| 項目 | 標準スコアリング | ラリースコアリング |
|---|---|---|
| 得点 | サーブ側のみ | ラリーに勝った側が必ず加点(14.A.2) |
| コールの数字 | ダブルスは3つ | 2つ(サーバーの点・レシーバーの点)(14.A.3) |
| ダブルスのサーバー | 2人ともサーブ | 1人だけ。失えば即サイドアウト(14.A.5) |
試合時間が読みやすくなるため、大会運営で採用されることがあります。ただし2026年のUSA Pickleballゴールデンチケット大会・全米選手権、およびダブルスのダブルイリミネーション種目では使用できません(規則15.C.2)。
一般のレクリエーションプレーでは、標準スコアリング(サーブ側のみ加点)が基本と考えて問題ありません。
よくある質問
Q. コールを毎回やらないといけませんか?
A. 公式ルール上は必須です(規則6.B、6.C.1)。友人同士のレクリエーションでも、コールしたほうが結果的にトラブルが減ります。全員が同じ数字を共有できるからです。
Q. サーバー番号の「1」「2」はゼッケンのように固定ですか?
A. 固定ではありません。サイドアウトのたびに、そのとき右側に正しく立っているプレーヤーが「1」になります(規則5.B.2)。
Q. サーブ権が2人目に移るとき、パートナーと位置を入れ替えますか?
A. 入れ替えません。 位置が変わるのは、サーブ側が得点したときだけです(規則5.B.5、5.B.6)。
Q. レシーブ側は誰が受けるのですか?
A. サーバーの対角にあるサービスコートにいるプレーヤーです(規則5.B.1、7.E)。ここも自チームの点数の偶奇で決まります。
Q. 10-10になったらどうなりますか?
A. 2点差がつくまで続きます。11-10では終わりません。
Q. 途中でスコアがわからなくなったら?
A. サーブが打たれる前に相手に聞いてください。相手には正しく答える義務があります(規則6.E.1)。誰かのスコアが正しい保証はないので、わからなくなった時点で全員で確認するのが最善です。
覚えたら、コートで試す
スコアの数え方は、机の上で完全に理解しようとするより、1ゲーム打ってしまったほうが早いです。特に「偶数なら開始時と同じ側」の感覚は、体で覚えるものです。
初心者体験会なら、経験者がコールを教えてくれます。
地域から探す場合はこちらから。
まとめ
- 得点できるのはサーブ側だけ(規則4.A)
- 通常は11点先取・2点差以上(Section 1)
- ダブルスのコールは**「自分の点 - 相手の点 - サーバー番号」**(規則6.B.2)
- ゲーム開始は必ず**「0 - 0 - 2」**。最初のチームは1人しかサーブできないため(規則5.B)
- 位置が変わるのは得点したときだけ(規則5.B.5、5.B.6)
- 迷ったら自チームの点の偶奇を見る。偶数なら開始時と同じ側(規則5.B.3)
ルール全体の解説はピックルボールのルールを図解で解説、競技の全体像はピックルボールとは?をご覧ください。用語がわからなくなったら用語集が便利です。
参考文献
いずれも2026年8月21日に内容を確認しています。
- USA Pickleball「2026 Official Rulebook」 https://usapickleball.org/docs/rules/USAP-Official-Rulebook.pdf (参照: Section 1 The Game、4.A、5.B、5.B.1、5.B.2、5.B.3、5.B.5、5.B.6、5.C、6.A、6.B、6.C、6.D、6.E、6.F、7.E、14.A、15.C)
- USA Pickleball「2026 Rulebook Change Document」(2025年12月17日公開/2026年1月30日改訂) https://usapickleball.org/docs/rules/USAP-Rulebook-Change-Document.pdf
- USA Pickleball「Official Rules」 https://usapickleball.org/rules/
- ピックルボール日本連盟(PICKLEBALL JAPAN)「公式ルール」 https://japanpickleball.org/rule/